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vol.26【創業融資②】:創業融資の重要ポイント~「自己資金」について

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Vol.25ブログで創業融資の際の2大重要ポイントが、「自己資金」と「経営者の経歴」であるということを述べました。

 

今回のブログでは、「自己資金」について、詳しく述べていきたいと思います。

 

自己資金とは、開業にあたり創業経営者が独自に準備してきたお金のことをいいます。

 

金融機関が評価するのは、自己資金の「残高」と「蓄積の履歴」です。

 

■自己資金「残高」から評価されること

「自己資金」残高がいくらあるのかによって、色々なことが分かります。

 

・創業のために、どのくらいコツコツと準備を進めてきたのか。【計画性】

・独立できるほど、実力がある人なのか~どのくらい稼いできた人なのか【稼ぐ力】

・どのくらい貯めてきた人なのか【貯める力】

 

「自己資金」といえば、その残高が大切だと考えられている創業経営者がとても多いです。しかし、「自己資金」の確認において、金融機関に確認されるのは、残高だけではないのです。

 

■自己資金の「蓄積の履歴」である通帳から評価される、「創業経営者の過去」

実際の審査では、「自己資金」のエビデンスとして、「通帳」の原本の提出が求められます。「通帳」は、自己資金の残高以上に、色々なことを物語ります。そして、「過去」ですから、書き換えすることができません。

(通常、過去から独立時の融資まで考慮して、通帳をきれいにしておく人はほとんどいません。ですから、融資申し込みのタイミングで、「ヤバッ」となってしまうことが多いのは事実です。)

自己資金の履歴である「通帳」は、以下の視点からチェックされます。

・毎月の引落は、規則的に引き落とされているか【お金へのルーズさ(債務観念)】

・他人との金銭の貸し借りなど、異常な金銭のやりとりはないか【異常性】

・自己資金は、コツコツ前職から蓄積してきたものかどうか【蓄積過程】

・どんなことにお金を使っている人なのか【習慣】

・創業融資の直前に、友人等から一時的に振り込まれている「見せ金」(※)でないかどうか【自己資金の実在性】

 

このようなことからは、通帳を提出したくないと思われるかもしれませんが、通帳がないというのはそれ自体が異常ですし、「蓄積過程が確認できなかった」という評価になってしまいます。基本的には、通帳を提出し、その履歴をチェックしてもらわなくてはならないとお考えください。

パーフェクトな通帳をお持ちの創業経営者というのは、ほとんどいません。ある程度の指摘があっても合理的な説明ができるようであれば問題ありませんので、過度に気にしすぎる必要はないかと思います。

 

 

※「見せ金」とは、自己資金がない経営者が、一時的に親族や友人から、資金を借りて、通帳記帳をした後にすぐに資金を返還するというような取引をいいます。

資産としての実体のない「見せ金」について、金融機関は、懐疑心を持って通帳を確認します。例えば、融資の面談の前日に、知人からの振込や現金入金が●百万円あったりする場合には、「このお金は、何ですか?」と、金融機関の担当者に質問されることになります(当然、「これは、おそらく見せ金ではないか」という懐疑心をもった質問になります)。

 

 

■自己資金と融資額のバランス

「自己資金が仮に300万円あれば、いくらまで借りられるのか」などという質問をよくいただきますが、自己資金の何%までなどという明確な上限はないと理解してください。

ただし、年間100件近い融資をこなす中で、やはり実務上の目安というものもございます。大体の目安としては、創業融資の借入可能金額としては、

 

自己資金の2~3倍

 

というイメージと捉えてください。例えば、創業当初にかかる支出金額(設備投資+運転資金3か月分)の30%ほどは、自己資金で準備しておく必要があると考えてください。

 

■創業融資の上限金額

創業融資の融資金額は、自己資金との比率によって変わってきますが、だいたい300万円~1,000万円というのが通常です。

創業ということは、金融機関からすると、新規の顧客ということになります。お金を貸すという行為は、「信用」が前提になるので、まだ取引実績や過去の業績もない創業者に貸せる金額というのは、限度があります。

創業で1,000万円借りられれば、相当程度、評価してもらっていると考えてよいかと思います。

弊社の支援先で、創業でお客さまが2,000万円借入するのをご支援したこともありますが、公庫の方も「創業で2,000万円借りた方は、はじめて見ました!」と、おっしゃっていました。

 

 

※多額の融資を受けられる会社になるために

金融機関が、その経営者にいくらまで貸せるかという評価を「与信」といいます。創業期は、「与信」に限りがありますが、「与信」は育てていくものです。

「与信」を育てていくには、いくつかのポイントがあります。

 

・借りるタイミング

・いつ、どこから借りるか

・決算と融資の関係

・成長フェーズと付き合うべき金融機関

 

これらについては、また、別の機会に取り上げていきたいと思います。

 

■自己資金が不足している場合の対策は?

そうはいっても、自己資金が不足している場合には、以下の3つの手段で補強できないか考えてみてください。

 

①親族からの借入

まず、親族からの借入金は、自己資金(資本金)に近い性質の資金として評価されます。当然、金融機関としては、返済原資として評価できますし、親への返済よりも金融機関への返済を優先することが期待できるため、一定の補強材料にはなります。友人からの借入金よりは親族からの借入金の方が、自己資金類似性は高いと言えると思います。

 

②不動産、金融商品などの資産

不動産や、金融商品などの資産があるようであれば、「資産背景」として評価されることになります。万が一の際の返済原資として期待されるからです。これらも、保有している場合には、開示するのが有利ということになります。

 

③配偶者の所得、貯蓄

配偶者など、同一生計内に、所得を得る方がいる場合にはこちらも返済原資として評価されます。

またそれだけではなく、その創業者が配偶者の給料によって、生活が保障されていると評価される場合には、事業から支出されるべき最低限必要な金額として、事務所家賃や人件費の他に、創業者の生活費見合いの給与(役員報酬)というハードルが一つ消えることになるので、事業計画上返済可能性が高まりますし、金融機関としては貸しやすい状況と判断されます。

特に配偶者のいる女性の創業等の場合には、配偶者の安定した所得が記載された「源泉徴収票」が大きくものを言う場合がありますので、配偶者には内緒にしたりせず、しっかりとした創業への理解と事業への協力への合意を得てから創業されるとよいと思います。

 

④他者からの出資

他者からの出資がある場合も、会社の資力が増すことになるので、ない場合と比較して、評価されます。

ただし、あまりにも自己資金の割合が小さく、他者からの出資が大半を占め、株式の過半数割れしているような場合には、会社の実質支配者は別にいると捉えられることもあります。会社法上も、株式の過半数を他者に握られた場合には、株式によって経営陣がいつ解任されてもおかしくない状況になるので、その場合には、大株主がどのような人物・会社なのか、創業者と大株主とはどういう関係なのか、将来的に経営権を安定して維持できるのかなどについて、評価がなされることになります。

 

⑤クラウドファンディングによる自己資金の追加

また、最近であれば、クラウドファンディングで返済不要の資金を調達することで、自己資金を増加されるということも可能です。弊社は、クラウドファンディングの最大手「READY FOR」社と提携があり、こちらでの支援案件も数多くあるのですが、クラウドファンディングで自己資金を作り、融資の際の自己資金に充当するというケースもあります。

クラウドファンディングのメリットとしては、「資金調達だけでなく、ファンづくり、顧客づくりにつながる」という側面もあるので、クラウドファンディングを行って既にファン層や、見込み客がある程度作れているという状況は、事業計画上もその後の売上獲得が期待できるので、金融機関から評価される要素ともなります。

 

次回、vol.27ブログで創業融資の際のもう一つの重要ポイントである「経営者の経歴」について、より詳細に述べていきます。

 

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