資金調達したいとき、融資がいいの?出資がいいの?

資金調達したいとき、融資がいいの?出資がいいの?
目次

■テーマ 資金調達したいとき、融資がいいの? 出資がいいの?

今回は、前回Vol.4「融資か出資か。それぞれのメリット・デメリット」の応用編として、

「資金調達したいとき、融資がいいの?出資がいいの?」というお話をいたします。

■融資と出資の違いをおさらい

まずは、簡単に融資と出資の違いについておさらいしてみましょう。

詳細は、前回のVol.4「融資か出資か。それぞれのメリット・デメリット」をご参照ください。

出資と比べた時の融資のメリット・デメリット

融資は金融機関からお金を借り入れる方法で、下記のメリットとデメリットがあります。

スクロールできます
メリットデメリット
・経営権に影響されない
・信用度や業績が高いほど大きな額を調達できる
・保証人や担保が必要になることもある
・元金+利子を返済する必要がある
・資金の使い方が限定されている
・信用度や業績によって利用できないこともある

融資と比べた時の出資のメリット・デメリット

出資とは投資家などから資金援助を得る方法で、下記のメリットとデメリットがあります。

スクロールできます
メリットデメリット
・返済が必要ない
・保証人や担保が必要ない
・多額の資金も調達可能
・投資家からのアドバイスを得られることもある
・投資家からの新たな人脈形成も可能
・経営権を一部譲渡することになり、経営の自由がきかなくなることがある
・配当金を支払わなければならない
・業績が上がると配当金などの支出が増える

■どっちが有利か、その決定要素

あなたの会社が資金調達を行いたい場合、 どんなときに融資でどんなときに出資が望ましいのか。

それを決める要素として、今回は2つの要素を取り上げます。

それは、事業の①「成功確率(確実性)」
②「成功した場合のリターンの大きさ(収益性)」という2つの要素です。

誤解を恐れず端的にいうと、ずばり、成功確率が高い事業は融資の方が望ましく、
成功確率は高くないが成功した場合に大きなリターンが期待できる事業は出資の方が
望ましいといえます。
(議論を簡潔化するために個々の複雑な諸事情を加味しない場合の、基本的なケースとして捉えてください。)

■資金需要側からみた資金調達

ここで、2つの事業を想像してみてください。

どちらも2,000万円の資金を調達したいとします。

A事業:成功確率95%、成功したときの利益は毎年1,000万円
B事業:成功確率10%、成功した場合の利益は毎年10億円

成功確率が高いA事業の場合には、皆さまはどちらで資金を調達しますか?
95%の確率で毎年1000万円の利益が出るわけですから、
会社の持ち分を明け渡すよりも稼いだお金で定額の金利と元本を返済し、
残りは自分と会社のものにできる方がいいと考えるはずです。

一方で、成功確率が高くないB事業の場合には、90%の確率で
事業は失敗に終わり借金だけが残ります。

もし成功した場合にはある程度の会社持分(原則、半数未満)を
出資者に提供してでも、失敗した場合に備えて返済不要の資金を
獲得した方が安心ではないでしょうか。

資金需要者にとって、融資による「返済義務」と出資による「会社の持ち分を所有される」ことのどちらが、負担が大きいのか。

これは、事業の「成功確率(確実性)」「成功した場合のリターンの大きさ(収益性)」によって、判断が異なってくるのです。

なお、成功確率が低く、成功した場合のリターンも低い場合には、
資金を提供する者など存在せず、事業プランの改善が必要ということは
いうまでもありません。

■資金提供側からみた資金調達

上記のことは、資金提供側の立場から考えても、分かると思います。

融資する側(主に銀行)は、ビジネスがそこそこ儲かっても、
上場するくらいに儲かっても、得られるのは数%の金利だけです。

ですから、そこそこでいいから、A事業のように、確実に成功してほしいのです。
つまり融資者はローリスクの事業のみ、ローリターンで資金提供してくれるのです。

一方、出資する側(主にベンチャーキャピタル等)は、
もともと返ってこないかもしれない資金を提供します。

ビジネスが失敗しても、大失敗しても、帰ってこないことには変わりがありません。
ですから、成功確率は低くてもこれはうまくいったら化ける!という
B事業への出資を選択します。

つまり出資者は、ハイリスクを許容してくれる代わりに
ハイリターンを選好するということです。

■資金調達方法による事業計画プレゼンの違い

このことからは、融資を受けるためのプレゼンと、出資を受けるためのプレゼンは区別しなくてはならないということも分かると思います。

融資を受けるためのプレゼンは「確実性」に重きを置くこと、
出資を受けるためのプレゼンは「収益性」に重きを置くことを

明確に意識しなくてはなりません。

■資金調達で融資や出資を受ける方法とポイント

では、具体的に資金調達で融資や出資を受ける方法とポイントをそれぞれ見てみましょう。

融資を受ける方法とポイント

融資は、主に下記の金融機関で受けることができます。

  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工組合中央金庫)
  • 民間金融機関(銀行・信用金庫)

融資を受ける際は、自社の信用度を高く評価してもらうことがポイントです。

まずは、融資の条件を満たしているかを細かくチェックしましょう。

その上で、自社の信頼度および安定性を伝えます。

売上を提示するほか、信頼できる取引先がいることをアピールすると、企業の安定性の証明につながります。

また、経費削減を含む業務改善計画を実行および提出することも、有効に働く場合があります。

出資を受ける方法とポイント

出資は、主に下記の方々から受けることができます。

  • 個人投資家
  • ベンチャーキャピタル

個人投資家の中には、起業したばかりのスタートアップ企業に出資するエンジェル投資家もいるため、自社の状況に合わせた方法を選ぶことが大切です。

出資では、自社の将来性を認めてもらうことのほかに、投資家とつながることも重要なポイントです。

売り込みのためのプレゼンやイベントへの参加、マッチングサイトを利用する方法も良いでしょう。

投資家とつながることができたら、交流を深めることも大切です。

「この会社を応援したい」と思ってもらえることで、出資を受けやすくなります。

■自社の状況を見極めて資金調達方法を選ぶ

融資にも出資にもそれぞれ良い面・悪い面があります。

一概にどちらがおすすめというものではなく、自社の状況に合わせて適切な方法を選ぶことが重要です。

また、それぞれのプレゼン方法で重視する点も変わってきます。

融資も出資も、ポイントを押さえてスムーズに資金調達できるよう意識していきましょう。

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