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vol.8 ベンチャーキャピタルからの出資受入と資本政策

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■テーマ ベンチャーキャピタルからの出資受入と資本政策

前回は創業時点での出資を想定しておりましたが、今回は、
会社が上場を目指す前提で、その成長過程における資金調達
という想定で書きたいと思います。

まずは、出資による資金調達の基本ルールを3つ記載します。

■出資による資金調達により、会社の「経営権」と「シェア」が奪われる

12月の第4回で記載のとおり出資による資金調達は、
第三者に株式を発行することになるため、「経営権(議決権)」や
「シェア(利益分配権)」の一部を第三者に手渡すことになります。
⇒ルール①:株式を発行すると「経営権」と「シェア」を奪われる。

■資金調達額=株式数 * @株価」

出資による資金調達額は、
「株式数」*「一株当たりの株価」で決定されます。

・株式数
経営陣の持株数が仮に1,000株だとすると、経営陣が過半数を
保持するためには、999株までしか発行することができません。
⇒ルール②:発行できる株式数には限度がある。

・一株あたりの株価
会社の株価は、専門的には、「将来キャッシュ・フロー」
「上場類似会社の株価」「(時価)純資産」に基づいて決定されます。
シンプルに言うと、「会社の株価は会社の「成長」と共に高くなる」ということです。
⇒ルール③:どの成長段階で資金調達するかによって、調達額が異なる。

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⇒ルール①:株式を発行すると「経営権」と「シェア」を奪われる。
⇒ルール②:発行できる株式数には限度がある。
⇒ルール③:どの成長段階で資金調達するかによって、調達額が異なる。
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経営陣は、出資による資金調達において、ルール①~③のバランスを
考慮する必要があります。

■経営陣の願望

経営陣が出資により資金調達する際には、以下のようなことを望みます。
・資金を「早く」調達したい
・資金を「多額に」調達したい
・会社の「発行株式数を少なく」したい
しかし、これらはすべてトレードオフの関係にあり、全てが叶うわけではなく、
そのバランスが重要であるといえます。

■成長過程での出資による資金調達において考慮すべきこと

更に上場までの長期で、これを考えた場合には、以下のことも考える必要があります。
・上場までの間に、どのタイミングでどのくらいの資金が必要か
・上場までにどのタイミングで何回の資金調達が必要か
・それぞれの資金調達時にいくらの資金が必要で、どのくらいの株数を発行するのか
・そのためには、どういうスケジュールでどのくらい成長しなくてはならないのか

■資本政策とは

このように会社の上場までの「資金需要」を満たしながら、株式の発行数を
抑制することで「経営権・シェアの確保」という目標も達成していくために、
「いつ」「誰から」「いくらの資金を」「発行株数何株で」

調達するかについて計画することを「資本政策」といいます。

■ベンチャーキャピタルからの出資を受ける場合の留意点

ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資し、そのベンチャー企業が
成長することによって、上場による株価上昇や企業買収などによる
株式の高値での売却を目的とする機関投資家のことをいいます。

彼らは、投資のプロであり、彼らの投資には常に採算性が考慮されます。
ベンチャーキャピタルからの出資を受ける際には、以下の①~③に留意する必要があります。

①投資契約の内容をよく理解すること
ベンチャーキャピタルも出資する以上は、安く、多くのシェアを取りたいわけです。
ベンチャーキャピタルの提示してきた出資契約が、必ずしも
適正と思ってはなりません。

例えば投資契約で、事業が上手くいかなかった場合には経営陣に
株式の買戻責任があるような場合もありますし、ベンチャーキャピタルの
条件通りに出資を許したおかげで、知らぬ間に
会社が乗っ取られていたというケースも耳にします。

ベンチャーキャピタルから出資を受ける際には、専門家に見てもらうなど、
投資条件や投資契約をしっかり理解し、納得することが大切です。

②一株あたり株価の根拠を理解すること
一株の金額は、「将来キャッシュフロー」「上場類似企業の株価」「時価純資産」
などに基づいて、専門的な計算ロジックを用いて評価されます。

上場前の会社の株価は、上場株と異なり時価がないため、
公認会計士などの専門家によって評価されることが多いです。

出資側についている公認会計士は、説明がつく範囲で
なるべく「安く」算定するのが通常です。

つまり、ベンチャーキャピタルが提示してきた株価を鵜呑みにしてはいけません。
会社側もベンチャーキャピタルの提示してきた株価を専門家にチェックしてもらったり、
独自に自社の株価算定を行うことも必要かと思います。

これを怠ると、知らぬ間に、安い金額で多くのシェアを奪われてしまう可能性も
ありますので、慎重な対処が必要です。

③長期的な資本政策を考慮する
毎回、資金調達額と第三者に手渡す株式数をしっかりと把握して、
次回の資金調達の時期や金額も考えながら、
自社が上場まで辿り着けるような長期的な視点から、
増資を行う必要があります。

最後に、第三者から出資を募るということは、会社の所有権である株式を
手渡すわけですから、非常に重要な取引であるということを肝に銘じてください。

そしてとくにベンチャーキャピタルから出資を募る際には
相手がプロであるということを念頭におき、自社側にも専門家を置くなど、
慎重に進める必要があると考えます。

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