融資か出資か。それぞれのメリット・デメリット

融資か出資か。それぞれのメリット・デメリット
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■テーマ 融資か出資か。それぞれのメリット・デメリット

起業するのであれば絶対に知っておかなくてはならない内容

ですので、 今回はこのテーマを取り上げます。

融資と出資の必要性

突然ですが、水の入ったバケツを想像して下さい。そのバケツの底面に穴をあけたら、
水がこぼれていきます。この水はお金、バケツは会社のことです。
会社が存続する以上、若しくは生きている以上、お金は一定額以上出ていきます。
この水がなくなる前に、どこかから水を汲んでこなくてはなりません。


一番いい水は「売上」という水です。売上という水がこぼれていく水よりも大きくなれば、
毎月バケツの中の水が増えていき、バケツを大きくしていけるサイクルに入ります。

しかし、創業当初からこのようにはうまく行きません。

ほとんどの事業は当初、「こぼれる水」>「入ってくる水」の時期があるはずです。
そんな状況において、 「融資」「出資」は、バケツに水を注いでくれる
命の水になってくれます。
この「融資」と「出資」という水を使い分けながら、起業家は会社を維持し、
大きくしていかなくてはなりません。

融資とは

融資とは、金融機関からお金を借り入れることです。

返済が必要なため、会社の信用度により借りられる額が異なります。

融資には、「公的融資」と「民間融資」の2種類があります。

公的融資は、国や自治体による融資で、金利が低く長期の借り入れができるなど、創業から間もない企業でも利用しやすいことが特徴です。

日本政策金融公庫などが、公的融資に該当します。

民間融資では、プロパー融資や信用保証付融資、ノンバンク無担保融資が挙げられます。

プロパー融資は銀行などの金融機関から直接借り入れる方法で、信用度や担保により審査が行われる仕組みです。

信用保証付融資は、各地にある信用保証協会による保証によって金融機関から借り入れを行います。

プロパー融資と違い、協会の保証が付くことが特徴です。

ノンバンク無担保融資は、銀行や信用金庫、信用組合以外の金融機関から、担保なしで借り入れを行う方法です。

出資とは

出資は、投資家などから資金を援助してもらう方法です。

企業や事業の成功を見込んでの援助となるため、返済は必要ありません。

ただし、成長に応じて配当金などで還元をしていく必要があります。

また、出資した投資家には株式が発行されることが特徴で、これによって投資家は経営に対する影響力を持つことになります。

出資を受けるためには、企業や事業の今後の計画を明確にした事業計画書や経営計画書を提出しなければなりません。

融資と出資の違い

「融資」も「出資」も資金であることに相違はありません。では何が違うのか。

それは調達後の義務という視点から示されます。

融資の特徴

まず、融資の義務は、「返済」と「利息の支払」の2点です。

返済開始時期、借入年数及び利子率などの契約条件は、契約ごとに異なりますが、
上記の2点については必須の要素となります。


例えば、300万円を期間5年で借りたとすると、借りた月から5万円強の返済が生じます。

例えば、極端にいえば、その借入金で300万円の設備投資をして、次の月に売上が
あがらなければ5万円強の返済資金が早くも危ういということになります。

すなわち、融資することで先行投資が可能になりますが、投資の成果が
出なかった場合などには返済が負担になることがあります。

出資の特徴

一方で、出資というのは、「返済」しなくていいし、「利子もない」んですね。
事業が立ち上げで、うまくいくかいかないか分からないという状況においては、
大きなメリットです。

しかし、他人から出資をしてもらうことには大きなデメリットがあります。
それは、出資者は株主となり、会社の所有者となるということです。

例えば、Aさんが株式会社を資本金600万円で立ち上げ、
自分が代表取締役になったとします。
Aさんは200万円出資し、叔父さんに400万円出資してもらったとすると、
会社の持ち分の3分の2は叔父さんの所有になってしまうというわけです。

でも、代表取締役は自分ですし、事業を回しているのも自分。
だから、この会社は自分の会社だって思いますよね。

では、株式会社の経営者と株主はどっちが強いのでしょうか。

株式会社においては明確に、経営者よりも「株主」の方が強いのです。

なぜなら、株式会社の経営者である取締役は、所有者である株主が、
株主総会で選任するからです。

上記の状況においては、叔父さんはいつでもAさんを取締役から解任し、
自分や他の人間を取締役に据えることが可能です。

これは基礎的ですけど、本当に重要な知識です。

融資と出資それぞれのメリット・デメリットまとめ

「融資」と「出資」それぞれのメリット・デメリットを、一覧でまとめて見てみましょう。

融資のメリット・デメリット

出資と比べて、融資のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

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メリットデメリット
・経営権に影響されない
・信用度や業績が上がれば大きな額も調達できる
・保証人や担保が必要な場合がある利子も含めて返済する必要がある
・資金の使い方が決められていて自由に使えない
・信用度や業績によっては審査に通過できない可能性がある

出資のメリット・デメリット

融資と比べて、出資のメリット・デメリットは、下記のとおりです。

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メリットデメリット
・返済する必要がない
・保証人や担保を用意する必要がない
・多額の資金を集められる場合もある
・投資家からのアドバイスが得られる場合がある
・投資家とつながることで、新たな人脈形成につながることもある
・経営権を一部譲渡することになるため自由な経営が難しくなることがある
・配当金を支払う必要がある
・業績アップにより配当金などのコストが高くなる
・投資家などの目に留まらなければ出資を受けられない

融資と出資の使い分けポイント

融資と出資にはそれぞれにメリットとデメリットがあります。

そこで、状況に合わせて使い分けることが重要です。

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融資がおすすめなケース出資がおすすめなケース
・経営に口出しされたくない
・資金の使い道が決まっている
・返済義務を負いたくない
・投資家とつながることによる利点を生かしたい
・企業や事業の成功について理解を得られる自信がある

上記は一例となるため、自社の状況を吟味した上で適切な方法を選びましょう。

融資と出資は状況にあわせて選ぶことが大切

以上、「融資」と「出資」について、その違いを述べてきました。
ネガティブな内容にも見えますが、事業に資金は絶対に必要なものです。
調達した資金がもつ性質、コスト及び義務をしっかりと理解したうえで、
積極的に活用しましょう。

次回は融資について、「創業時の融資先とその特徴」、次々回は出資について、
「出資にまつわる注意点」を取り上げます。

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