【有料級】経営に活かせる決算書の活用法を徹底解説!

経営に活かせる有料級の決算書再編集方法を解説します!

毎月、毎年作成する決算書。確定申告のために必要な書類を、多くの時間をかけて作成していらっしゃる会社も多いのではないでしょうか。

そして決算書には、会社の売上の増減や利益など超有益な情報が書かれていているにもかかわらず、確定申告のみに利用されて眠っていませんか。

決算書だけでは経営改善の方法がわからないのは当然ですが、多くのコストをかけて作成する資料なのに活用できないのは、もったいないですよね。

そこで、本記事では、決算書を活用して経営課題を見つけ改善していくための、レビューシート作成方法や、作成時のポイントと注意点も解説します。

有料級の情報なので、ぜひ活用してみてください!

【この記事のポイント】

  • 決算書から有益なレビューシートに変えるには、社長が経営判断で必要な情報を切り出してそれ以外を集約する作業が必須。
  • レビューシートの作成は、まず経営状態が読み取れる項目に区分し直し、次に不要な情報をできるだけ集約し、最後に全てを集約するといった3ステップで進む。
  • レビューシート作成時の注意は、集約にコストをかけすぎないこと。

【この記事を読んでほしい人】

  • 決算書の情報を経営改善に活用したい経営者
目次

社長にマッチするレビューシートとは 弊社の場合

経営改善レビューシート

社長にとって、決算書から抽出すべき有用な数字とは何でしょうか。

私は、その情報を集約してかつ読みやすくしたものを、レビューシートと呼んでいます。

これは社長にとっては、経営状態を一覧できる重要なツールになります。

では、レビューシートとは具体的にどんなものかご紹介します。

図1 弊社のレビューシート

図1は、私が社長の立場で見ている弊社のレビューシートの、金額面を編集したものです。A4用紙1枚ですべて集約できています。

あまりにも簡単なのでびっくりした方もいらっしゃると思いますが、こんなにシンプルなんです。

さらにこのシートが出来上がるまでがとても素早いんです。

弊社の場合、マネーフォワードクラウド会計を導入して、毎日経理処理を行い、翌月の1営業日位には前月の会計情報がまとめられ、レビューシートが経理から私に提出されます。早いですよね。

会計が早いので、経営判断もスピーディーにできます。

経営判断が素早ければ、ビジネスチャンスを掴みやすいだけでなく、何か困った時の対応も手遅れになりにくい。

数字を活用する経営に、早期決算は必須条件です。

マネーフォワードクラウドを宣伝するわけではありませんが。

クラウド会計の導入支援をお客様に提供している会計事務所である以上、クラウドをフルに活用して早期決算を極めたいと思っています。

弊社は、仕入れや在庫の無い業態なので人件費率が高いですが、一定の基準を上回らない限りは健全経営です。

55%を超えてくると適切な利益確保が難しくなる、というのは弊社のケースなので、会社によってこの比率は違います。

その他の経費は、弊社の場合は通常270万円位です。

320万円を超えていたら、なぜ増加したのかを経理に報告してもらっています。

その内容に納得できない時に、やっと会計データで詳細を確認します。

その時は、見たい数字を拾い上げ、見たくない数字はその他でまとめています。

その理由は、私が管理に労力をかけるのはあまり好きではないからです。

細かい管理をするくらいなら、それにかかる労力を戦略を練り実行することに使った方がいい、社長はそれくらい大局を見るべきだと考えてます。

そして弊社の大局を一覧するために、最低限に必要な局面だけを切り出してそれ以外を集約したものが、先ほどの経営管理のレビューシートです。

レビューシートで大局に異常がなければ、現場で小さなことが起こっていても、それが会社全体には大きな影響を及ぼしてはいないと判断できます。

一方で、レビューシート上に異常な数値として出てきていれば、それは会社として早急に対応すべき事項というように考えています。

おかげで私は細かい管理をしないで済みます。

大局に影響を及ぼすような事態の場合は、レビューシートが教えてくれるからです。

具体的に、私はレビューシートに以下の事を質問しています。

  • 顧客は順調に増えているか?
  • 解約はあったか?
  • 客単価は目標通り契約できているか?
  • これから伸ばしたいコンサルプランは順調に契約できているか?
  • 人件費は目標の40%になっているか⇒もし40%以上であれば人が余っている状態、それ以下なら従業員に負担がかかっている状態と判断する。
  • 大体の目標となっている利益を獲得できているか?
  • 現金残高は利益の通り増えているか?差額があれば、原因はなぜか?

レビューシート1枚で、これらの事に全て答えることができます。

営業面、採用面を含め、このレビューシートを見て会社の状況を理解し上手くいっているところ、そのままでいいところ、改善が必要なところが明確になります。

社長として過去の実績を把握し、翌月以降の戦略を立てるための情報としていはこれだけで必要充分だと考えています。

弊社のレビューシートは、現段階ですでに数字を活かすための最終形態であるともいえます。

私は数字が読める、数字を活用している社長として毎月しっかり数字と語り合い、数字の声を聞きき続けながら更新していました。

そうして今も毎月、必要に応じて更新しています。

私が確認したい情報はここに全て入っている状態です。有用かつシンプルですよね?

ここまでシンプルなら数字を見てもいいかなと思いませんか?

もっと様々な数字をミックスしていくと、さらに経営判断が研ぎ澄まされていきます。

一見難しそうに思いますが、そんなに難しいわけでもありません。

自社の経営に必要な情報は何かを判断し、エッセンスを抽出していく作業が必要ですが、そもそも扱っているのは、社長であればよく知っている自社情報なのですから。

レビューシートを作る過程で、自社にとって大切なものがだんだん鮮明に浮かび上がってきます。それは社長だけが味わえる経営の醍醐味ともいえます。

レビューシートを作成する3つのステップ

レビューシートを作成する3つのステップをご紹介します

では、レビューシートを作成するにあたって、何から手を付ければよいでしょうか。

端的に言うと、会社の会計の書類を子ども向けの絵本のように簡単に編集し直す作業からはじめます。

この作業によって、社長は自分の知りたい情報、読める情報を手に入れることができます。

いくら数字が苦手な社長であっても、そもそも関心の高い数字なので、なぜこうなっているのか、どうやったら改善できるのか、と考えるはずです。

作成は、次の3ステップで進みます。

ステップ1 見たい情報を集める

まず、会計上の決算書を、経営状況が読み取れるように集計します。

例えば、売上高は、社長が見たい情報を交えて区分します。

「A事業売上」「B事業売上」など、もしくは「A商品売上」「B商品売上」など、変動費を売上原価に、固定費は販管費に移動します。

変動費は、販売量に比例して増減する費用をいい、原材料費や販売手数料、運送費などを指します。

一単位の販売増につき増加するものだけを含め、それ以外の物は販管費に計上します。

ただし、製造業などで、製造原価報告書を作っている場合は、そのままでよいです。

ステップ2 会計上にないけど必要な数字をもってくる

たまたま会計が数値化されているので、会計から入りがちないのですが、ポイントは、会計から一度離れて経営上どんな情報を知りたいかを一度考えてみることです。

会計上では数値化されるものとされないものがあります。

1人当たりの売上、人数、店舗ごとの来客数、どんな数字があなたの経営判断に役立ちそうかを考えてみてください。

その上で

  1. 会計数値を利用できるのは会計からとれるようにする
  2. 会計からとれないものは別で情報を持ってくる

という作業をします。

ステップ3 集約する

会計数値には、意思決定に影響を及ぼさない数字があるでしょう。

その場合は、それらをおもいきって、その他として集約してください。

レビューシートをシンプルにするにはこの作業が重要です。

ただし集約は、本当に経営の本質をおさえている確信がないと怖くてできません。

一気にやろうとは考えず少しずつすすめてください。この作業が社長がより自身の経営と数字に熟達していくためのプロセスになります。

知りたい数字をピックアップする事例

社長が見たい数字をピックアップする事例をいくつかご紹介します

業種や業態、規模、ビジネスモデルなどによって、社長が見たい、知りたいという数字は様々です。

そのため、まずは、社長が見たい数字を自由に考えてみることがポイントです。

事業ごとに好調不調を調べたい時

A事業とB事業、C事業のうちどれがうまくいって、どれが不調なのかを知りたいのであれば、経理担当者に事業別の収支を出してもらって比較してみましょう。

【売上】 前期1億円 ⇒ 今期1.2億円

といわれれば、なんだか好調そうに見えます。

しかし

【売上】A事業 前期5,000万円 ⇒ 後期6,500万円

    B事業 前期3,000万円 ⇒ 後期1,500万円

    C事業 前期2,000万円 ⇒ 後期4,000万円

となると、B事業の減収は何があったんだとなりますよね。

その原因解明とその結果をふまえたテコ入れ、もしくは最悪の場合、撤退なども含めて考える必要がありますよね。

一方で、C事業の急進については大きな事業的チャンスにもなります。

状況を詳しく理解して必要ならば追加の積極投資をしてもいいかもしれないと思うようにみえてきますよね。

在庫が過剰になり過ぎないか、管理したい時

在庫が過剰になり過ぎないか管理したいなら、在庫の残高を毎月の売上原価で割ると何ヶ月分の在庫があるかわかります。

例えば月の売上原価平均が、大体500万円だったとすると

1月在庫 750万÷500万=1.5ヶ月分

2月在庫 800万÷500万=1.6ヶ月分

3月在庫 750万÷500万=1.5ヶ月分

4月在庫 1500万÷500万=3ヶ月分

と在庫回転の推移を見ていけば、4月は一体何があったんだとなりますよね。

月の適正在庫が1.5か月分と分かっていると変化があった時には、仕入れが過剰になっていないか、何か特殊な要因があったのではないかとすぐにでも現場へ確認しますよね。

数字を見ていなければ、在庫が増えていることも感知できず、現場が面倒だから大量に一気に仕入れようと、適当にやっていても気付かなかったかもしれません。

その状況が放置されて、気が付いたのが決算の12月ならいかがでしょうか。

在庫が3000万円、大部分が季節を過ぎた不良在庫、陳腐化商品の山。その結果、会社の現金残高は不良在庫に代わってしまい、次の季節の仕入れにも支障がでる、そんなことになっていたかもしれません。

ショップスタッフ1人当たりの売上はいくらなのかを知りたい時

ショップスタッフ1人当たりの売上はいくらなのかを知りたいなら、売上をショップスタッフの人数で割ればいいのです。

例えば全体の売上が1,000万円でスタッフが10人なら

全体の売上1,000万円÷10人=一人あたり売上100万円

セール品と通常品で分けて、通常品の売上だけを見たいなら、通常品売上げを区別して集計し

通常品売上600万円÷10人=一人あたり売上60万円

とすればよいでしょう。

これをA店舗、B店舗、C店舗で比較すればどの店舗の営業が上手くいっているのか、スタッフ教育が上手くいっているのか、店長の能力が高いのかを評価する指標になるでしょう。

A店舗の店長がその店のスタッフを通常品の販売で評価するのであれば、通常品の売上600万円を誰が売ったのか

  • Rさん 200万円
  • Gさん 150万円
  • Hさん 250万円

などと区別して集計すれば個人個人の評価のための指標となるでしょう。

個人という部分に焦点をあてるのであれば、それぞれの販売客数と平均客単価を用いるだけでも色々なことが見えてきます。

  • Rさん200万円(100人×平均客単価2万円)
  • Gさん150万円(100人×平均客単価1.5万円)
  • Hさん250万円(50人×平均客単価5万円)

RさんとGさんは、販売客数は同数ですが、顧客単価でRさんがGさんに5,000円勝っています。

ここから判断するに、Gさんはお客様にもう一品買っていただくとかそういうスキルや工夫が必要かもしれません。

Hさんは、販売客数は少ないですが、平均客単価が突出しています。

お客さんにいくつものまとめ買いを勧める力がすごいのか、ファンや太客を持っているのか、Hさんの客単価の高さの理由を一度、本人にも聞いてみたいものです。

もしかしたら他の販売員のヒントとなるようなノウハウをもっているかもしれません。

もし、Hさんの販売客数を増やすかどうかの点は、改善の余地があるかもしれません。

このように、知りたい情報によってどの数字を見ればよいのかが変わってきます。

レビューシートを作成するには、社長が知りたい情報を適切にピックアップしましょう。

レビューシート作成時の注意点

レビューシート作成時にはかかるコストに注意です

レビューシート作成時に注意が必要なのは、その集計コストと、管理することによって得られる利益のバランスをとることです。

知りたい情報や管理したい数字は細かくなるほど、集計コストがかかってしまいます。

特に、中小企業のリソースは限られていますから、コストに見合うか、真に必要な情報は何か、確信をもって管理していくことがとても大切です。

例えば、客単価は売上を客数で割れば出ます。

でも会計書類には顧客数や卓数、来客者数などの数字はでてきません。

集計コストがかかることを理解した上で、それでもその数字を見ていくことに価値があると判断したら、ひと手間かけて数字を取りに行きましょう。

もちろん、ある指標が正確で論理的だったとしても集計コストが過度に高いなら、もっと別の集計コストの低い指標で代替えするという判断も時として有効です。

リソースの限られた中小企業にとって、細かい管理のための数字の集計に多くの時間を使うのは望ましい事ではないはずです。

費用対効果を見極めて、ベストな数字を使ってください。

こういう数字って簡単に出せる?

そこまでてをかけなくていいけどこういう事を把握したいからこういう風に作ってくれない?

とこんな感じで自社の経理担当や税理士にオーダーしてみてはいかがでしょうか。

まとめ

本記事では、決算書を活用して経営課題を見つけ改善していくための、レビューシート作成方法や、作成時のポイントと注意点を解説しました。

このノウハウをマスターすれば、決算書から経営の問題点を見つけられるようになり、経営課題の解決が自分でできるようになります。

有料級の情報なので、ぜひ活用してみてください!

とはいえ、記事を読んで自己流でマスターするのは誰でもできることではありません。

自分ではできないなと思われる方はぜひ、はぎぐち公認会計士・税理士事務所の無料相談へお気軽にお問い合わせください。

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