【解説4】法人化に悩む経営者必見!法人化する前に決めるべきこと6つ

法人化する前に決めておくべきことは何でしょうか?

【この記事を読んで欲しい人】

  • 法人化をする前に決めておくべきことを知りたいと考える経営者の方

【この記事のポイント】

  • 法人化する前に考えるべきことは6つある。
  • 決めきれない事や判断に迷う事があったら、信頼できるプロに相談を。
目次

個人事業主から始めた事業が大きくなってきて、法人化を考えているという方もいらっしゃるでしょう。

あるいは、独立したら初めから法人に!と考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

では、法人化する前に決めておくべきことは何でしょうか。

そこで今回のテーマは、「法人化する前に決めるべきこと6つ」です。法人化を考える経営者の方は必見です!

法人化の前に決めるべきこと6つ

法人化にあたって決めるべき6つのことは?

法人化を考えるにあたって必要になるのは、以下の6つです。

  • 会社名を何にするか
  • 資本関係をどうするか
  • 決算期はいつにするか
  • 役員を誰にするか
  • 事業内容は何にするか
  • 法人の義務履行

では、順番に解説していきます。

会社名を何にするか

法人なりの第一ステップは、会社名を何にするかです。基本的に、会社の名前は自由です。ただし、名は体を表すというように、人の名前と同じく、会社の名前も大変重要です。読みやすく覚えやすい、事あるごとに思い出してもらえる、そんな名前が付けられたら最高ですし、そのような要素を考慮してつけるべきです。経営者の好みによっては、画数を第一優先に会社名を付ける方もいらっしゃいます。

あと、私が大事だと思うのは、口頭で言って聞き取りやすい社名にすることです。例えば、会社で経費を使う時、領収書を貰う機会が多々あると思います。領収書をもらう時、宛名書きは何にされますか?と聞かれて、フランス語の会社名だとすると一度では聞き取りづらいでしょう。外国語が悪いわけではありませんが、耳慣れない名前だと、伝えるのに苦労します。かく言う私たちの会社も「株式会社HG&カンパニー」といって、アルファベットや記号、カタカナの混じった名前になっていて、若干苦労します。

カタカナで四文字、とかの会社名だとわかりやすかったかなあと思う事がありますが、口頭で伝えても伝えやすいといった要素を意識するのも大切かなと思います。

資本関係をどうするか

法人化で考えるべきことの2つめは、資本関係をどうするかです。

資金調達方法は融資か出資か

資金調達を融資にするか出資にするかで、大きく違いがあります。

融資を受ける場合は、主に銀行からの借り入れになります。そうすると、返済義務があり、利息も必要になります。この場合、受けた融資は返さなければならないし、借りた分以上に利子を付けて返さなければならないので、その分コストになります。

一方、出資を受ける場合は、返済義務はありません。

返済しなくてよいと聞くと大きなメリットのように思いますが、出資の場合、出資した分に応じて出資者が会社の所有権も得ることになります。社長が自分で出資するのであれば会社は自分の物ですが、自分以外から出資を受けたとするとその分の所有権が他人に行くことになってしまいます。

融資は返済義務があるのがコストになり、出資は返済義務がないことがメリットになる。

しかし、出資は所有権が取られる可能性がある、ということを理解しておきましょう。

また、もう一つの判断基準に事業リスクの高低があり、リスクが高いなら出資を選ぶという選び方もあります。その理由は、自分がずっと所有し続けるつもりでなく、その事業が上手くいかない可能性がある場合には、返済不要であることのメリットの方が大きいからです。

反対に、事業が上手くいく可能性が高いなら融資を選びます。出資を選んでしまうと、事業が上手くいった時に出資者に会社をとられてしまうリスクが高いためです。

  • 事業が上手くいかない可能性がある時は、出資
  • 事業が上手くいく可能性が高い時は、融資

このポイントをおさえておくと役に立ちます。

資本の持分割合には差をつける

続いて、資本の持分割合についてですが、共同経営の場合は特に、事前にきちんと決めておくことをおすすめします。

例えば、51%対49%というように、必ず差をつけておくことが大変重要です。

私たちは日々、創業支援のご相談をたくさんお受けしています。

共同経営のケースは多くあり、2年目、3年目は良いのですが、5年から10年となってくると、仲違いしたり方向性の違いが出てきます。経験から言うと、8割9割が共同経営をやめて別れています。

友好的な関係で共同経営を解消している場合もありますが、共同経営で資本を50%ずつ所有しているとなると、必然的にもめてしまいます。資本を50%ずつ所有しているとなると、どちらも同等の権利があるからです。

そうなることを防ぐために、資本の割合には必ず差を設けるようにアドバイスさせていただいています。

特に、株式会社だと、意思決定には過半数の票51%が必要になります。

50%ずつの資本をもっているとしたら、反対意見になった時にどっちも譲らなくなってしまいます。

会社の意思決定をする時に、いつももめて意思決定ができない会社になってしまうのを避けるためにも、どちらかは51%以上の権利を持ち、順位付けをしていなければなりません。

差をつけていれば、過半数以下の方が譲れたりして経営がスムーズになります。

経営に第三者が入る場合は注意

資本関係で気を付けるのは、経営に第三者が入る場合です。出資で第三者が入る場合には、出資計画のチェックが必須です。

出資者としては、ベンチャーキャピタルやエンジェルなどが有名です。

出資をもらえるのはありがたいことですが、その分会社の所有者にもなってしまいます。

もし、出資の際に交わした書類に、乗っ取り条項があるのに気付かないままで事業をしていて、事業が上手くいったら会社を乗っ取られてしまった、ということがあるかもしれません。

あるいは、明日からいらないといって急に追い出されてしまうケースもあります。

第三者を入れて経営をする場合には、出資計画のチェックが必須です。

決算期はいつにするか

決算期を決める方法はいくつかありますが、その一つは期間で決めることです。例えば、3月に設立した会社なら、2月の後半を決算期にします。決算日はいつにしても良いのですが、一年に一回は必ず決算をすることが必須です。

もし、設立日が3月15日なら、決算日は3月14日としても良いのですが、通常は月末に設定します。そのため、上記のケースだと、2月末を決算日にするのが一般的です。

もし、税務面から考えるなら、税金を最適化するために繁忙期の前で切るという考え方もあります。繁忙期の利益が入らないところで締めにすれば、利益が少なく終わるので税金も少なくなります。繁忙期で出た利益は、翌年の決算に回すことになるので、税金を最適化するという意味で考えると有利になる方法です。

一方で、私たちはこちらの立場ですが、会社を大きくすることを考えるなら、繁忙期の利益を含めて、利益がでる良い決算をするという考え方もあります。そうすれば、利益が増え良い決算になって、税金が増えるかもしれませんが、銀行の評価が良くなり信頼が得られる可能性が高まります。会社の資金も増えるので、それを投資に回すことも可能です。

会社を早く大きくする財務観点から言うと、利益が回収された状態で決算ができるのが良いのではと思います。

ちなみに、決算日を運勢で決める人もいます。お日柄が良いからとか、1日が良いとか、そういう決め方もあります。基本的には自由に決められるので、ご自身のお考えにあう決め方をしてみてください。

役員を誰にするか

役員を誰にするのかは、会社の経営や資金調達を左右する重要な問題なので、特に慎重に決めるべきです。

取締役が何人かいる場合には、代表の取締役を決めておきます。

代表がついてもつかなくても同じなのは、経営の業務執行をすることです。違う事は、「代表」と付く人には代表権が与えられることです。

代表権とは、その人の発言や合意が、法人の総意とみなされるというところです。言葉のとおり会社の代表とみなされる人が、代表取締役です。

創業融資で考慮されることは、代表取締役の与信です。

代表取締役の与信を調べる時、代表個人の支払いやローンの状況をチェックされます。融資を想定するなら、代表取締役になる人は、個人の信用情報が綺麗だということを意識する必要があります。

もし共同経営で、代表者が複数いる時に、そのうちの一人の債権が多いために、法人で借りることのできる資金が少なくなってしまうということもありえます。

そのため、代表者の信用情報はよく確認し、信用情報がクリーンな人を代表に選ばなければいけません。

また、役員とするか従業員とするかで、報酬の決め方には大きな違いが生まれます。

役員報酬は、経営陣が決めることができますが、期の途中で変更することはできません。

利益が出たからと言って一時的にあげたり、減収になったからと言って減らすこともできません。

このように、役員報酬は直前で臨機応変に変更できないという制限があります。

一方で、従業員は従業員保護の観点から、労働基準法で守られていてまもられており法律での扱いが異なります。

自分だけでなく、誰かを雇って経営をする場合には、役員とするのか従業員とするのかをよく考える必要があります。

モチベーションや、仕事にコミットする原動力として考えると、役員として経営に大きくかかわる立場の方が熱量高く仕事をしてくれるかもしれません。

しかし、役員報酬は臨機応変な変更ができず不自由になるので、役員にするのと従業員にするのとどちらが会社にとって良いのか十分に考える必要があります。

会社の人員が、役員なのか従業員なのかによって、助成金と補助金の使い道も変わってきます。従業員がいると、従業員の給与補助として助成金を活用することができます。

一方、役員の給与を補助する助成金などはほとんどありません。助成金で給与の補助をすることを考えるなら、従業員としている方が有利という場合もあります。従業員は、期の途中で給与体系を改定したり、ボーナスを出すこともできるので、役員と比べて自由度が高くなっています。

特に創業時は、売上が上がるとか上がらないとか、経費が想定以上にかかってしまったとか、売上も読み辛いため、一期目の役員報酬は決め辛くなります。そんな状況でも、役員報酬は最初に決めたら、一年間は同じにしなければ経費として認められません。

一方、従業員は自由です。最初低く設定していても、途中で上げることも可能です。

金額設定の自由さ、助成金や補助金の使い道を考慮すると、役員にしないで従業員とする方が有利なこともあります。

これまでに紹介した要素を比較検討して、役員にするか従業員にするかを判断しましょう。

事業内容をどうするか

法人は定めた事業を行うためだけに法的に認められた人格として存在しています。一番最初、会社の登記をするとき、登記事項を書きます。

会社の事業は、登記事項に書いてあるけどその事業をやっていないのは良いのですが、登記事項に書いていない事業をやるのは違法になってしまいます。

そのため、将来やる可能性がある事業は登記事項に書いておきましょう。もし、書いていない事業を新しく始めたいなら、登記内容の変更が必要になります。

法人の業務履行

法人になると源泉調整、社会保険、法人だと求められる書類の用意や、帳簿申告の義務、役員報酬を決定するなど、会社法で規定されている様々な法的義務を負うことになります。

まずは、法律を知っている事が大切で、さらに規定にのっとって確実に履行していくことが重要です。

そのために税理士がいるのですが、税務署や年金事務所、許認可法令順守に対処する役割の人も決めておく必要があります。

まとめ

今回は、法人化を考える第四弾として「法人化する前に決めるべきこと6つ」をテーマにしました。

個人事業主から始めた事業が大きくなってきた方、あるいは独立したら即法人!と考えている方の参考になれば幸いです。

なお、はぎぐち公認会計士・税理士事務所では、創業支援のご相談をたくさんお受けさせていただいています。

法人化すべきかの判断や、法人化のためにすべきことは、ブログに掲載していますのでご参照いただければと思います。

記事を読んでも自分だけでは判断がつかないと感じられる方は、はぎぐち公認会計士・税理士事務所の無料相談へお気軽にお問い合わせください。

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