【経営者必見】すぐ実践できる!数字を見るコツを徹底解説
前回は、決算書の見方をご紹介しましたが、今回は「数字を見るコツ」についてご紹介したいと思います。
この考え方をマスターすると、これまでよりもさらに数字を経営判断に適切に活かすことができ、スピーディな意思決定の役に立ちます。
手軽に経営に活かせる情報を知りたい、という方はぜひこの記事を読んでみてください。
【この記事のポイント】
- 決算書に現れる数字を見る時は、あらかじめ予測を立てておくべき。
- 予想を立てて見ることで、数字をイメージしながら、意思決定ができるようになる。また、数字が示す問題点に気づきやすくなるため、対処が早くなる。
- 経理を教育すると、経営の味方になる。
- 数字を見る時は、全てをくまなく把握しようと思わず、分かりやすい簡潔な数字を使用し、期間比較や他社比較を用いて判断する。
【この記事を読んでほしい人】
- 身近な数字を読み解いて経営改善に活かしたい経営者の方。
- 業績が伸び悩んでいて、解決の糸口を見つけたい経営者の方。
あらかじめ予測を立てて決算書を見ていく
見たい数字をみることで、数字の声が少しでも聞こえるようになってきた社長には、
実際の経験から、決算書やそれ以外の数字を予測する習慣をつけて欲しいと思います。
予測すると言うと、中には「難しくてできそうにない」と思って思考停止されてしまう方もいらっしゃいます。
予測と言っても、それほど難しく考える必要はないので、気負わずに聞いていただきたいと思います。
例えば、「今年は従業員を増やした、だから、人件費は上がっているだろう」
といった、簡単なことからでいいので、自分なりに視点を設定してみて、自社の数字を予測してください。
そして、実際の決算書の人件費が上がってなかったら、検証をしてみてください。
例えば、
「人数を2倍に増やしたのだから人件費はもっと上がっているはず。でも人件費が1.2倍にしかなっていない。何が原因なのか。」
「営業部の山田、鈴木、佐藤の人件費が外注費に計上されている。この三人は雇用しているのだから外注じゃない。計上の仕方が間違えていたから人件費があがっていなかったんだ。」
といったことがわかってきます。
数字を予測するとは言っても、細かい数字に精通する必要はありません。
大局を把握し、気になるポイントだけでも、どこが増え、どこが減っているのかの予測を立てるのです。
その上で、税理士や経理が出してきた決算書の数字を見ることをおすすめします。
あらかじめ予測を立てて決算書を見ることのメリット
あらかじめ予測を立てて決算書を見ると、次のようなメリットがあります。
- 経済行動や経済事象と、数字が整合してくる
- 数字をイメージしながら、意思決定ができるようになる
- 予測と数字が乖離している時に、異常点に気が付ける
⇒経理の間違いかもしれないし、もしくは経済行動が想定通り進んでいない(上手くいきすぎか、全く上手くいっていない)等の可能性がある - 異常点に気づけるため、対処が早くなる(経理の修正、経済行動の修正)
経営は、意思決定の連続です。
「その意思決定が数字的に大丈夫なのか」
「どのような効果があるのか」
社長の頭の中で、意思決定とそれによって実行される経済行動と数字がリンクし始めると経営リスクは大幅に軽減できます。
さらに、チャンスをより積極的に掴んでいくことにつながります。
これは、経営においてとても大切なことですよね。
そのためにも、経理や税理士から数字が上がってくる前に、数字はこんなふうになっているんじゃないかなと予測して、その上で実際の数字を見るという習慣をつけてみてください。
経理を経営の味方につける
社長が「こういう情報が欲しいんだよね」と経理担当者に具体的に伝えるようになると、経理担当者の意識が変わるという効果も期待できるかもしれません。
できるようになるかは担当者によりますが、ただ数字を打ち込むのではなく、集計してウォッチしていくようになるかもしれません。
なぜなら経理担当者は書類を作りながら、普段から否が応でも数字を見ていますよね。
あまり深く考えないタイプの経理担当者でも、「B事業部は顧客数は下がっていますが客単価は上がっています」までは気付いて報告することができます。
そしてそこで「なんでそんなに顧客数が下がっているの??」と社長が聞けば、調べてみようとなりますよね。
自立的に考えられるタイプの担当者なら、
「社長はどのような数字が欲しいと思っているのか」
「なぜその数字が欲しいと思うのか」
「なるほど、経営視点ではこういうことが大切なのか」
と想像して、様々なことに気付いてくれるはずです。
「社長、売上は変わっていないように見えるんですけど、C事業が危険です。かなりお客さんが減っています。たまたま単価で大きい大口があったので、先月と同じ売上にはなっていますが、半月以上は大変だと思います。早めに手を打ってください。」
担当者からこんな報告が上がるようになってくると、社長も頼もしく感じるのではないでしょうか。
数字を経営判断に活用する時のポイント
経営のために、会社の数字をおっていくのが重要、という話をすると会社の全ての数字を把握しようとされる社長もいます。
もちろんできればとても素晴らしいですが、現実的に不可能なことや、無駄な努力に終わってしまう事もあります。
ではどのようにすれば、効率よく適切な会社の数字を把握できるのでしょうか。本章ではそのポイントを解説します。
全ての数字を把握する必要はないと割り切る
たまに「会社の数字をみよう」とはりきって、社内の全ての数字を把握しようとする社長がいます。
その志は素晴らしいのですが、細かい数字を見るためにはコストがかかりますし、そのためのリソースを割く必要もあります。
どれほど、「数字は友達」といっても、社長の大切な時間を過度に細かい事の管理に費やしてしまっては、数字は悪友になってしまいます。
それってちょっと本末転倒ですよね。
限られた時間、リソースで数字を把握していくためには、
「全てを完璧に見られなくていい」と割り切ることも重要です。
本当に大切な数字は何か、それを間違えていなければ、簡単に取れる数字だけでも大きな効果があります。
分かりやすくて有用な数字を見つける
私も、自分の会社を経営する社長ですが、難しいことが好きではありません。
難しいことにはそれなりの価値があるのかもしれませんが、難しいままでなくできれば簡単にして欲しい、と常に思います。
この記事をご覧になっている、あなたはいかがでしょうか?
会社にとって大切な数字って、実はそんなに多くはないはずです。
難しいから深い、簡単だから浅い、そういうことはありません。
私が、毎月経営判断に活用しているペーパーは簡潔です。
内容は簡潔ですが、本質的で私が知りたいことについては全て教えてくれます。
分かりやすいけど本質的で有用、そういう数字を友達にしていきましょう。
数字は比較する
数字は比較可能性を持っていることは、以前お伝えしました。
数字を経営判断に活かすコツは、比較することです。
集客数や成約数といった数字を、今月、前月、前々月の売上で比較してみてください。
事例1
図1のように、毎月の動きを見て異常値が出た時に、その原因を調査すると、会社に起きている異常、不備にいち早く気付くことができます。
あるいは、前年同月と比べてみれば、季節的な要因を排除して、前年の同じ季節の数字の比較ができるでしょう。
図1の例で言うと、数字を見ずになんとなくいつも通りの成約数かな、で過ごしてしまうと後が大変になります。
6月の異常に気づくのが遅くなり、7月8月は赤字に転落するまでになっていた、なんてことになります。
継続して比較をしていけば、6月は集客数でブレイクスルーがあったな、人事で大きな異常がおきているから対処が急務だ、と気付き対応することができます。
事例2
「売上3,000万円」と聞くと、この会社は大きいでしょうか?小さいでしょうか?
1社だけでは何とも言えませんよね。
では、「売上10億円」であればいかがでしょうか?
漠然と大きいなとは思うかもしれませんが、上場企業にしてはむしろ小さい部類です。
このように売上が3,000万円、10億円という数字は、それだけでは大きいか小さいかを規定きません。
数字の大きさは、他の数字との比較によって初めて評価ができるのです。
ではここで、数字を期間比較してみましょう。
- 去年の売上は2,000万円でした。
- 今年は3000万円でした。
となればそこで初めて両者を比較できます。
その結果、成長した、という評価を導きだせるのです。
反対に、
- 去年の売上は6,000万円でした。
- 今年は3,000万円です。
となると3,000万円の減額です。
この数字だけ見れば、売上が半額になっているのですから、大変なことと思うかもしれません。
しかし、数字の声を聞いていれば少し減っただけだということにも気付くことができます。
結果、景気の影響だろうかとその原因に考えをめぐらせることになります。
次に、他社比較です。
自社の売上が去年の2,000万円から今年は3,000万円になっている、と聞くと上がっているように思ってしまいます。しかし、
- 同業他社は軒並み2倍になっている。
- 市場規模も2倍に増えている。
という場合はどうでしょうか。
他社が2倍に伸ばしているところを、自社は1.5倍にすぎません。
成長しているとは言えそうですが、他社はさらに伸びています。
うちはもっとできたのではないか、何をすべきだったのか、という問題意識が芽生えてきます。
一方、こんな例はどうでしょうか
- 同業他社の売上はほとんどが前年比大幅マイナス。
- そんな中、自社は去年の売上3,000万円を今年も維持できた。
期間比較ではゼロ成長ですが、他社比較では合格点を出せます。
すごい、どんな手を打ったんだろうと、業界内で評価されていることでしょう。
数字は、比較によって初めて意味をもちます。
今年の売り上げが3,000万円ということだけでは、どのように評価していいのかわかりません。
期間比較や他社比較を用いることで、自社の成長や伸び率が適正だったか、経営は順調なのかを知ることができます。
このような視点を覚えておかれると、経営改善の役に立つと思います。
まとめ
今回は「数字を見るコツ」について、事例を用いて解説をしました。
数字を見るコツをマスターすれば、会社に起こる多くの経営課題の解決に役立ちます。
ぜひ実践してみてください。
ただ、記事を読んで自己流でマスターするのはハードルが高いと思われる方は、はぎぐち公認会計士・税理士事務所の無料相談へお気軽にお問い合わせください。
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