創業時に使える融資制度は?使い分けをどこよりもわかりやすく解説!

創業時に使える融資制度とその使い分けをどこよりもわかりやすく解説します!
目次

前回は、「資金調達したいとき、融資がいいの?出資がいいの?」というテーマで、お話しました。

どちらがいいかを判断する要素は、以下の2つです。

  • 事業の成功確率(確実性)
  • 成功した場合のリターンの大きさ(収益性)

使い分けは、

成功確率が高い事業は融資を選択する方が望ましく、

成功確率は高くないが成功した場合に大きなリターンが期待できる事業は、出資を選択する方が望ましい

というお話をしました。

融資と出資の判断基準について
図:融資と出資の判断基準について

今回は、前回の内容を踏まえたうえで、
創業時に使える融資制度についてどこよりもわかりやすく解説します。

【この記事の要約】

  • 創業時に使える2つの融資制度は、「日本政策金融公庫の創業融資制度」と「信用保証協会を使った制度融資」
  • 2つの融資制度を使い分けるポイントは、「金利」と「融資までのスピード」
  • すぐ必要な資金は「日本政策金融公庫」で、急がないけど欲しい資金は「信用保証協会」からなど、用途に応じて使い分けよう

【この記事を読んでほしい人】

  • ほぼノーリスクの資金調達方法が知りたい方
  • 創業間もなく、銀行からの融資調達に苦戦している方

何から手を付けてよいか分からない方から、より詳しく財務の相談がしたい方まで

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創業時に使える2つの融資制度とは

「創業するから、お金を貸してくれ!」と通常の銀行に行っても、何の信用も実績もない

創業事業者に銀行はお金を貸してはくれません。

なぜなら銀行は、実績のない新米事業者に融資をすれば、事業がうまくいかず貸付金が返済されないリスクの方が高いと考えるからです。

300万円の融資に対し年3%の金利でリターンが得られるとしても

そもそも貸付金が戻ってくる確証がない相手には融資したくないのは当然です。


お金の貸手からみると実績のない創業事業者にお金を貸すことはとてもリスクが高いのです。

そんな創業事業者がお金を借りるためには、やはり国の制度として設けられている、創業融資制度を利用するのがベターです。

国の制度を利用し審査に合格すれば、創業まもない事業者でも貸し渋りなく融資を受けることができます。

国が提供している融資制度は主に、下記の2つです。

1,日本政策金融公庫の創業融資制度

日本政策金融公庫は、国が100%出資する政府系金融機関です。国が運営しているためこの機関が倒産する可能性はほぼありません。

日本政策金融公庫の融資はいくつかの種類がありますが、そのうちの一つで個人事業主や小規模事業者、創業企業に向けて融資をする事業があります。

創業事業者向けの事業では、最大3,000万円(うち運転資金として1,500万円)の融資をうけられる制度があります。

魅力は、「新創業融資制度」の基準利率が2.40~3.50%(令和5年10月2日現在)と、比較的低く設定されていること。

さらに、無担保・無保証人で利用できます。

また返還期間も、利用する制度によりますが、5~7年と長めに設定されているのもありがたい点です。

           

詳しくはこちらをご確認ください。

参考:日本政策金融公庫 国民生活事業(主要利率一覧表)

2,信用保証協会を使った制度融資

こちらは、銀行や信用金庫からの借入金に対して信用保証協会から保証を付けてもらう制度です。

その対価として事業者は信用保証協会に保証料を支払います。

リスクの高い創業事業者への融資に対して、信用保証協会にそのリスクを負担してもらうことで銀行や信用金庫はお金を貸してくれるようになります。

更にこのスキームに、都道府県市区町村などの地方自治体が
創業者支援制度を設けている場合が多いです。

例えば墨田区では、これから区内で開業される方や開業して5年未満の区内事業者に対し、「チャレンジ支援金」の斡旋を行っています。

融資の申請を金融機関や信用保証協会に持っていく前に、事業計画のお墨付きとしての「斡旋状」をもらって提出することで

「通常2.0%の金利+信用保証料」のところ、
墨田区に「1.8%の金利+信用保証料全額」を負担してもらうことができます。


結果、事業者の負担は、たった「0.2%の金利」のみということになります。

これは事業者にとってかなりありがたい制度です。

参考:墨田区HP  チャレンジ支援金のご案内 

墨田区以外にも、支援制度は様々な地方自治体で用意されています。

支援制度の例(一部)

スクロールできます
自治体内容利用方法限度額参考
中央区・証明書を使用すると、会社設立時の登録免許税が軽減されたり、国や東京都の創業に関する補助金申請時に使用できる
・新たにホームページを制作する場合の対象経費の総額の3分の2(限度額6万円)を補助
優遇措置を受けるには、創業支援事業を受けて発行される証明書を使用
ホームページ作成は6万円中央区HP 創業支援事業
中小企業のホームページ作成費用を補助します(令和5年度10月分)
文京区・商店街の空き店舗で起業する場合に、家賃補助や経営相談が受けられる
・本人負担利子は実質0%
必要書類を提出1,500万円(代表者が区民の場合2,000万円)文京区HP融資一覧
起業にチャレンジする方を応援!文京区チャレンジショップ支援事業 
新宿区・本人負担0.2%の低金利の融資を紹介している利子と保証料の一部が補助される1回2時間の面談を複数回受けたうえでエントリー2,000万円創業等支援融資制度~新宿区中小企業向け制度融資~
江東区・創業資金融資斡旋
・3年目まで本人負担利子0%
利子優遇は特定創業支援等事業を受けて発行される証明書が必要2,500万円創業支援資金融資(運転・設備)融資制度の概要

地方自治体の支援制度は、同じ東京23区でも大きく異なります。


ご利用の際には、皆さまの事業所所在地の地方自治体の制度をお調べ下さい。

2つの融資制度、どっちを使う? 金利以外に考慮するべきこととは?

前述の2つの融資制度ですが、どちらを使うのが有利でしょうか。

 どちらにするか判断をする際にポイントとなるのは、金利と融資スピードです。

1,金利

融資の条件として、第一に気がかりなのは「金利」だと思います。
無担保・無保証人の新創業融資制度を利用すると「2.40%~3.50%」ですが、

担保や保証人をつけると「0.10%~2.80%」まで下げることができます。

一方で墨田区を通して信用保証協会を使った制度融資は、さきほどの墨田区の例ですと実質負担0.2%の金利で借り入れることができます。


自分(自社)が借りる場合に金利が有利なのはどちらなのかをしっかりと確認しましょう。

また、その際には、最初に支払われる信用保証料の実質負担分も加えて実質金利を計算しましょう。

2,スピード

もう一点、創業の融資において重要な条件、それは「スピード」です。


融資実行までにどのくらい時間がかかるかを確認しましょう。


創業においては、早く借りないとお金が尽きてしまうというケースが比較的多いです。

あと1か月しかお金が持たない状況下で、融資実行までに2か月かかる制度を利用してしまったら、資金はショートしてしまいます。

「スピード」という点では、日本政策金融公庫は一カ所の審査で済むため融資実行までの期間が2~3週間と早いです。


一方で、信用保証協会付の制度融資については、自治体まで絡めると三か所(自治体→保証協会→金融機関)の審査が必要になるため、全部で2~3か月かかります。

スピードで言えば、明らかに日本政策金融公庫の方が有利です。

2つの融資制度、賢い使い分けは?

では、前述のポイントもふまえ、2つの融資制度をどのように使い分けるのが良いのでしょうか?

弊社も、融資では「事業計画の作成」「銀行との交渉」の支援についてご相談を頂くことが多いです。

その時、私がいつもお伝えしているのは、
「早く必要な資金は日本政策金融公庫で調達し、長く安く借りたい資金は
金利の低い方で調達しましょう」

ということです。

 
例えば、全部で1,000万円調達したいとします。

その時には、全額を政策金融公庫から3.0%で借りるよりも、
すぐに必要な設備投資資金500万円は日本政策金融公庫から借り入れましょう。

そして、残りについては前述の墨田区の制度融資を用いて0.2%で借り入れるというような使い分けをした方が、
金利負担は初年度だけでみても13万円以上低く抑えられます。

「すぐ必要な資金」と「急がないけど欲しい資金」を区別し、融資スピードに合わせて使い分けると、効率的に資金調達できます。

創業時は融資制度を活用しよう

いずれにしても、信用も実績もない創業事業者にとって、国や自治体の制度の一環である

これらの創業融資制度は非常に有利な制度です。

当然、元本返済と金利の支払義務は生じますが、優しい金利と
そこまで厳しくない審査(ただし、そこまで甘くもないです)で創業事業者を守ってくれます。

事業創業直後は、信頼も実績もない事業者の方が大半だと思います。

だからこそ、創業融資制度の必要性をしっかりと判断したうえで、積極的に活用していきましょう。

まとめ

今回は、融資を利用するか出資をするかの判断といった前回の内容をふまえ、

「創業融資制度」について解説をしました。

創業事業者の強い味方となる制度なので、ぜひ活用をしてみてください。

とはいえ、どのようにすればよいかわからなかったり、判断するにあたって意見を聞いて参考にしたい、という方もいらっしゃると思います。

そんな時は、弊社までお気軽にご相談ください。

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