融資や出資が資金調達の主流ですが、
「リース」という資金調達方法を一つのオプションとして知っておくと、
資金調達の選択肢が広がります。
そこで本記事では、資金調達方法としてのリースの特徴や注意点、活用方法を解説します。
【この記事の要約】
- リースは資金調達の一種である。
- 融資額が限度に達していて借り入れできないときに、リースという資金調達法が選択肢になる。
- ただし、リースは設備資金のみにしか使えない。また、リース料率(≒金利)は、借入利息より通常高くなる。
- さらにリースには条件があるので、契約前に確認するなど注意が必要。
【この記事を読んで欲しい人】
- 資金調達したいのに、融資枠が限度に達して困っている方。
- 資金調達の選択肢を知りたい方。
リースって、資金調達なんですか!?
そもそも、リースが資金調達だということに違和感を感じる方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明します。
たとえば、ラーメン屋さんを開店するのに、600万円の設備資金が必要だとします。
①600万円を銀行から融資して600万円の設備を購入し、10万円ずつ60回で返済する。
②600万円の設備をリースして、月々10万円ずつ60回払いする。
(※:簡略化のため、借入利息、リース料率は考慮しない。)
この場合の、①と②のキャッシュ・フローを図示すると、以下のようになります。
①融資のキャッシュ・フロー
②リースのキャッシュ・フロー
図からお分かりのように、2つの違いは初期に、実際に600万円の収入と
600万円支出が生じるか否かのみです。
実際は、融資の場合も、借入収入後すぐに支出すると考えれば、融資とリースの場合の収支(キャッシュ・フロー)は同じであるといえます。
ですから、リースも資金調達の一種ということができるのです。
リースの特徴
リースを資金調達と捉えた場合、融資と比較してどのような点に特徴があるでしょうか。
この章では、リースの特徴を融資と比較して述べます。
限度額
創業融資制度は、一事業者に対する融資の限度額が決められています。
そのため、限度額を超える融資をうけることはできません。
また、融資審査に落ちた場合、経営状況を改善させてからでないと融資を受けることができません。
しかし、リースの場合、限度額はリース会社それぞれできめられておりリース料率も異なります。
そのため、融資が受けられなかった場合でもリースは可能となることがあります。
また、融資が限度額に到達していても、これに加えてリースによる資金調達が可能となる場合があります。
さらに、リースは、設備を売りたい設備業者がリース会社を案内してくれたり、リース審査の通過を支援してくれることもあります。
このように、リースは融資では調達できない場面や条件で実行可能となる余地を有する
「もうひとつの資金調達」ということになります。
会計・事務処理
設備を購入する場合、基本的には一括払いで購入します。その際、経費になるのは、設備の内容に応じた減価償却分だけです。
一方、リースを利用する場合、リース料は経費として計上できます。
そのため、経費を平準化して把握することが可能になるというメリットがあります。
事務処理については、購入する場合、固定資産税などの申告や納付に加え固定資産台帳を作成して管理する必要も生じます。
一方、リースを利用する場合は、上記のような事務処理が必要なくなります。
最新の設備を利用できる
設備の初期投資には多額の費用がかかるため、頻繁に更新をするのは難しい会社が多いでしょう。
しかし、業種によっては技術の進歩が早く、すぐに陳腐化してしまい業務に支障をきたす場合もあるかもしれません。
一方リースの場合は一括購入する費用よりも圧倒的に少額で、最新の設備を利用できる利点があります。
リース利用の注意点
リースは融資と比べて、会計処理が簡単だったり、限度額を気にしなくて良いなどの利点があります。
一方で、注意することはなんでしょうか。
①資金使途は、設備資金のみ
リースの使用用途は設備資金のみとなります。
実際に手元に届くのは設備で、融資のように現金が手元に流入することはありません。
そのため、基本的にリースの活用が向いているのは、設備投資を必要とする飲食業やエステ業、独自のオフィスを賃借したりするような事業などと心得ておきましょう。
②リース料率(≒金利)は、借入利息より通常高い
融資でいえばいわゆる借入利息にあたるリース料率ですが、一般的にリース料率の方が、創業融資制度を使った融資の借入利息より高くなります。
融資の借入利息などは、第6回「創業事業者の強い味方、創業融資制度」も合わせて読んでみてください。
③条件がある
リース契約によって、様々な条件が付けられていることがあります。
契約前に条件をしっかりと確認しましょう。
特に重要なポイントは、
「途中解約できるか、または解約時の条件」
「リース期間が終了したのち、資産の所有権は会社のものとなるかどうか」
などです。
というのも、リース契約は途中解約できないことが多く、途中解約すると高額の違約金を支払わなければならない可能性があるからです。
また、リース期間終了後にそのまま設備を使用したいとなった時、所有権がないと再リース料の負担が生じる可能性もあります。
知らなかったために余計な費用がかかってしまうおそれがあるので、契約前に必ず条件の確認をしましょう。
リース活用のタイミング
私見ですが、現在の創業融資の制度は金利面でかなり優位性が高いといえます。
そのため、利用できる場合は、創業融資を優先した方が有利だと思います。
しかし、一方で、リースは
- 融資限度額がいっぱいになったとき
- 融資の審査が通らなかったとき
などに、検討できる資金調達方法であるといえます。
リースという資金調達枠を考慮すると、例えば
- 事業の運転資金として、何に使用するかを限定せず流動的な資金が欲しいといった場合は融資
- 進化の早いIT機器を導入したいが、スペックや機能など進化が早く長年使用しているとすぐに古くなってしまう
- 新たな事業をできるだけ早く開始したいが資金が足りない
のような時の設備資金はリース
上記のように判断すれば、資金調達の選択肢が広がります。
まとめ
今回は、資金調達方法としてのリースのメリットや注意点、活用方法を説明しました。
資金調達の主流は、融資や出資ですが、
「リース」という資金調達方法を一つのオプションとして知っておくと、
資金調達の選択肢が広がります。
いくら、良いアイディアや技術を持っていても、会社が運転できる資金が尽きてしまえば事業はストップしてしまいます。
リースのメリットや注意点をよく理解し、選択肢の一つとして活用してみてください。
とはいえ、購入かリースか自分だけで判断できないこともあると思います。
そんな時は、お気軽にお問い合わせください。