新規事業の成功は、綿密な計画と的確な実行によって支えられます。
その過程において、重要な役割を果たすのがKPI(重要業績評価指標)の設定です。
KPIを適切に設定することで、事業の進捗状況を正確に把握し、目標達成に向けた戦略を効果的に修正できます。
しかし、KPIの設定は容易ではありません。
多くの経営者や事業責任者にとって、適切なKPIの選定や設定方法は大きな課題となっています。
この記事では、新規事業におけるKPI設定の重要性と具体的な設定方法、そしてさまざまな業種・事業規模に対応できるKPIの具体例を解説します。
新規事業成功のために!KPI設定の重要性とは
KPI設定がもたらす効果
KPIを設定することで、新規事業の成功確率を飛躍的に高めることができます。
まず、KPIは事業目標達成に向けて取り組むべき行動を明確にします。
漠然とした目標だけでは、何に注力すべきか判断できませんが、具体的なKPIを設定することで、優先順位をつけ、効率的な資源配分が可能になります。
さらに、KPIは進捗状況を定量的に把握する手段となります。
数値データに基づいて現状を分析することで、問題点を早期に発見し、迅速な対策を講じることができます。
これは、PDCAサイクルを効果的に回し、事業の改善を加速させる上で不可欠です。
また、KPIは公平な人事評価にも役立ちます。
個々のメンバーの貢献度を客観的に評価することで、モチベーションの向上とチーム全体の生産性向上に繋がります。
最後に、KPIは事業の撤退判断にも役立ちます。
一定期間経過後のKPI達成状況を評価することで、事業継続の可否を迅速かつ合理的に判断し、経営資源の無駄遣いを防ぐことができます。
※KPI(重要業績評価指標):KeyPerformanceIndicatorの略。事業目標の達成度を測るための、具体的な数値目標のこと。売上高や顧客数など、定量的に測定できる指標を設定することで、事業の進捗状況を把握しやすくなります。
KPI設定を怠るとどうなるか
KPI設定を怠ると、新規事業は大きなリスクを負うことになります。
まず、目標達成に向けた取り組みが曖昧になり、貴重な時間と資源が無駄に浪費される可能性があります。
進捗状況を把握できないため、問題発生時の対応が遅れ、事業の失敗に繋がる危険性も高まります。
さらに、人事評価が主観的になり、公平性を欠く可能性があります。
これは、メンバー間のモチベーション低下やチームワークの悪化を招き、事業全体の進捗に悪影響を及ぼします。
また、事業の撤退判断が遅れることで、損失が拡大する可能性も否定できません。
適切なKPIを設定することで得られるメリットは大きく、逆に設定を怠ることで生じるリスクも無視できません。
※PDCAサイクル:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルのこと。計画を立て、実行し、評価を行い、改善策を講じることで、継続的に業務改善を図る手法です。

事業計画におけるKPI設定の具体例と設定手順
KGI設定のポイント
KPIを設定する前に、まずKGI(重要目標達成指標)を明確にする必要があります。
KGIは、事業全体の最終目標を示す指標です。
KGIは、具体的かつ測定可能な数値目標で設定することが重要です。
例えば、「1年後の売上高1億円達成」「顧客数20%増加」など、達成度合いを明確に示す指標を選びましょう。
KGIがあいまいだと、KPIの設定が難しくなり、事業全体の方向性が定まらなくなります。
そのため、KGIは事業計画の策定段階で慎重に検討し、関係者全員で共有する必要があります。
※KGI(重要目標達成指標):KeyGoalIndicatorの略。事業全体の最終的な目標を示す指標のこと。KPIを設定する前に、まずKGIを明確にする必要があります。例えば、「売上高1億円達成」などがKGIとなります。
KSF特定のためのフレームワーク活用
KGIを設定したら、次にKSF(KeySuccessFactor:重要成功要因)を特定します。
KSFとは、KGI達成のために不可欠な要因のことです。
KSFを特定する際には、3C分析やファイブフォース分析などのフレームワークを活用すると効果的です。
これらのフレームワークを用いることで、市場環境、競合状況、自社の強み・弱みを分析し、KGI達成に最も重要な要因を明確にできます。
例えば、KGIが「1年後の売上高1億円達成」の場合、KSFは「新規顧客獲得」「顧客単価向上」「リピート率向上」などとなる可能性があります。
※KSF(重要成功要因):KeySuccessFactorの略。KGI達成のために不可欠な要因のこと。市場環境や競合状況などを分析し、KGI達成に最も重要な要因を特定します。
※3C分析:自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つの要素を分析することで、事業戦略を策定するためのフレームワーク。
※ファイブフォース分析:業界の競争構造を分析するためのフレームワーク。新規参入の脅威、買い手の交渉力、供給者の交渉力、代替品の脅威、既存企業間の競争の5つの競争要因を分析します。
SMARTなKPI設定
KSFを特定したら、いよいよKPIの設定です。
KPIを設定する際には、SMARTの法則を意識しましょう。
SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の頭文字をとったものです。
それぞれの要素を満たすことで、効果的で実践的なKPIを設定できます。
例えば、「新規顧客数を100人獲得する」というKPIは、具体的で測定可能、達成可能であり、KGIと関連性があります。
さらに、達成期限を設定することで、具体的な行動計画を立てやすくなります。
※SMART:Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の頭文字をとった目標設定の手法。この5つの要素を満たすことで、効果的で実践的なKPIを設定できます。
各部門別KPI具体例
KPIは、顧客、財務、業務プロセス、チームパフォーマンスなど、さまざまな観点から設定できます。
顧客関連KPI:新規顧客数、顧客維持率、顧客単価、リピート率、顧客満足度(CS)、ネットプロモータースコア(NPS)など。
財務関連KPI:売上高、利益率、顧客生涯価値(LTV)、投資対効果(ROI)、損益分岐点など。
業務プロセス関連KPI:業務効率、処理時間、リードタイム、エラー率、改善提案件数など。
チームパフォーマンス関連KPI:メンバーの満足度、能力向上率、モチベーション、チームワーク、目標達成率など。
※LTV(顧客生涯価値):CustomerLifetimeValueの略。1人の顧客から将来得られる収益の総額のこと。
※ROI(投資対効果):ReturnOnInvestmentの略。投資額に対する利益の割合のこと。
KPIツリーの作成と活用
複数のKPIを設定する場合は、KPIツリーを作成するとKGIとの関係性を明確にできます。
KPIツリーは、KGIを頂点として、KSFとKPIを枝分かれさせるツリー状の図表です。
これにより、各KPIがKGI達成にどのように貢献するのかを視覚的に理解し、全体像を把握することができます。
また、KPIツリーは、KPI間の関連性を確認し、重複や抜け漏れを防ぐためにも有効です。
KPI設定における注意点と改善策
よくあるKPI設定の失敗例
KPI設定では、いくつかの落とし穴があります。
まず、KGIが不明確なままKPIを設定してしまうと、目標とずれが生じ、効果的な対策を講じることができません。
また、測定不可能な定性的なKPIを設定してしまうと、進捗状況を正確に把握できず、改善策を講じるのが困難になります。
さらに、現場のニーズを考慮せず、経営層だけでKPIを設定してしまうと、現場のモチベーションが低下し、KPI達成が阻害される可能性があります。
複雑すぎるKPIを設定すると、理解や管理が難しくなり、実効性が低下します。
効果的なKPIモニタリングとPDCAサイクル
設定したKPIは、定期的にモニタリングし、PDCAサイクルを回す必要があります。
モニタリングを通じて、KPIの達成状況を把握し、問題点があれば原因を分析し、対策を講じます。
そして、その結果を検証し、改善を繰り返すことで、事業目標達成に近づいていきます。
モニタリングの頻度は、事業の状況やKPIの種類によって異なりますが、頻繁にモニタリングすることで、迅速な対応が可能になります。
KPIの見直しと柔軟な対応
新規事業は、市場環境の変化や競合の動向などによって、状況が刻々と変化します。
そのため、設定したKPIは、状況に応じて柔軟に見直す必要があります。
定期的な見直しを通じて、KPIの妥当性を検証し、必要に応じて修正することで、常に最適な状態を維持することができます。

まとめ
新規事業においてKPI設定は、事業の成功を左右する重要な要素です。
KGIを明確にした上で、SMARTの法則に基づき、具体的かつ測定可能なKPIを設定することが重要です。
顧客、財務、業務プロセス、チームパフォーマンスなど、多角的な視点からKPIを設定し、KPIツリーを活用することで、KGIとの関係性を明確にしましょう。
設定したKPIは定期的にモニタリングし、PDCAサイクルを回し、状況に応じて柔軟に見直すことで、新規事業の成功に繋げましょう。
KPI設定は、単なる指標設定ではなく、事業戦略そのものを実行するための羅針盤です。
綿密な計画と継続的な改善によって、新規事業の成功を掴みましょう。
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