事業計画は、起業家にとって未来への羅針盤です。
しかし、その計画の根幹をなす財務予測は、難解で、どこから手を付けて良いか分からない、という方も少なくないのではないでしょうか。
資金調達や投資判断においても、正確な財務予測は不可欠です。
計画の成功を左右する重要な要素である財務予測について、具体的な作成ステップを解説します。
事業計画書の財務予測
1:予測財務諸表の種類
事業計画における財務予測では、主に3種類の財務諸表を作成します。
損益計算書、貸借対照表、そしてキャッシュフロー計算書です。
損益計算書は将来の収益性を、貸借対照表は財政状態を、キャッシュフロー計算書は資金繰り状況をそれぞれ予測するものです。
これらの諸表を連携させることで、事業計画全体の整合性を高めることができます。
2:損益計算書の作成方法
損益計算書は、売上高から費用を差し引いて利益を算出するものです。
まず、売上高の予測を行います。
過去の売上実績や市場調査、営業計画などを基に、現実的な売上高を予測します。
次に、売上原価、販売費、一般管理費など、様々な費用を項目ごとに予測します。
これらには、原材料費、人件費、広告宣伝費などが含まれます。
固定費と変動費を明確に区分し、売上高に連動する費用とそうでない費用を分けて予測することが重要です。
これらの予測に基づき、粗利益、営業利益、経常利益、そして最終的な当期純利益を算出します。
3:貸借対照表の作成方法
貸借対照表は、企業の資産、負債、および資本を特定時点において表示するものです。
予測貸借対照表では、予測期間の最終時点におけるこれらの状況を予測します。
資産は、現金、売掛金、在庫などの流動資産と、建物、設備などの固定資産に分類されます。
負債は、買掛金、借入金などに分類されます。
資本は、自己資本と利益剰余金から構成されます。
損益計算書で算出した当期純利益は、資本の増加に反映されます。
資産の合計は、負債と資本の合計と常に一致する必要があります。
そのため、それぞれの項目の予測値を調整しながら、バランスのとれた貸借対照表を作成することが重要です。
4:キャッシュフロー計算書の作成方法
キャッシュフロー計算書は、企業の現金の動きを営業活動、投資活動、財務活動の3つの活動別に示すものです。
営業活動は、日々の事業活動から生じる現金の流入と流出を示します。
売上代金の回収や仕入代金の支払いが含まれます。
投資活動は、設備投資や資産売却などの現金の動きを示します。
財務活動は、借入金や返済、配当金の支払などの現金の動きを示します。
それぞれの活動における現金の流入と流出を予測することで、将来の資金繰り状況を把握し、資金不足のリスクを事前に予測することが可能になります。
5:正確性を高めるポイント
財務予測の正確性を高めるためには、複数のシナリオを作成することが有効です。
楽観的なシナリオと悲観的なシナリオを設定し、それぞれの状況下での財務状況を予測することで、リスクを評価し、より現実的な計画を立てることができます。
また、過去のデータ分析、市場調査、競合分析などを活用し、根拠に基づいた予測を行うことが重要です。
さらに、定期的に見直しを行い、必要に応じて修正を加えることで、予測の精度を高めることができます。

財務予測の作成方法
売上高予測の手順
売上高予測は、事業計画全体を左右する重要な要素です。
まず、ターゲット顧客数、顧客一人当たりの購入頻度、平均単価などを推定します。
これらの要素を掛け合わせることで、売上高を予測します。
市場調査や競合分析の結果を参考に、現実的な数値を設定することが重要です。
また、季節変動やキャンペーンなどの影響も考慮に入れる必要があります。
費用予測の手順
費用予測では、売上原価、販売費、一般管理費などを個別に予測します。
売上原価は、原材料費や製造コストなど、商品・サービスを提供するために直接必要な費用です。
販売費は、広告宣伝費や販売手数料など、販売活動に関連する費用です。
一般管理費は、人件費、家賃、光熱費など、企業全体の運営に必要な費用です。
それぞれの費用を、固定費と変動費に分類し、売上高との関係性を明確に把握することが重要です。
必要資金の算出方法
必要資金は、事業開始に必要な初期投資と、事業運営に必要な運転資金の合計です。
初期投資には、設備投資、ソフトウェア購入費、初期在庫費用などが含まれます。
運転資金は、日々の事業運営に必要な資金であり、売上高や費用予測に基づいて算出します。
必要資金を確保するための方法として、自己資金、借入金、投資家からの資金調達などを検討します。
財務諸表の連結方法
作成した損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書は、相互に関連しています。
損益計算書の当期純利益は、貸借対照表の資本に反映され、キャッシュフロー計算書の営業活動によるキャッシュフローは、損益計算書の利益と密接に関連しています。
これらの諸表を連結させることで、事業計画全体の整合性を確認し、より精度の高い予測を行うことが可能です。

事業計画における財務予測
1:財務予測の重要性
財務予測は、事業計画の成功を左右する重要な要素です。
正確な財務予測を行うことで、資金繰り状況を把握し、資金不足のリスクを事前に回避することができます。
また、投資家や金融機関への説明資料としても活用できます。
事業の採算性や成長性を客観的に示すことで、資金調達を円滑に進めることができます。
2:事業計画との整合性
財務予測は、事業計画全体の目標と整合性を保つように作成する必要があります。
事業計画で設定された売上目標や市場シェア目標などが、財務予測に反映されているかを確認します。
もし整合性が取れていない場合は、事業計画や財務予測のいずれかを修正する必要があります。
3:シミュレーションと修正
作成した財務予測は、単なる予測値ではありません。
様々な条件を変えてシミュレーションを行い、リスクを評価し、対策を検討します。
例えば、売上高や費用が予想以上に減少した場合、どのような影響があるかなどをシミュレーションします。
その結果に基づき、事業計画や財務予測を修正し、より現実的な計画を立てることが重要です。
まとめ
事業計画における財務予測は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3種類を作成することで、事業の収益性、財政状態、資金繰り状況を予測します。
売上高や費用の予測は、過去のデータや市場調査などを参考に、現実的な数値を設定することが重要です。
定期的な見直しと修正を繰り返すことで、変化する状況にも対応できる柔軟な事業計画を構築できます。
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