会社設立時に利用できる融資とは?制度活用メリットや融資獲得のコツを解説!

目次

会社設立時には、事業を円滑にスタートさせるために資金調達が重要です。ただ、まだ実績や信用がない創業者にとって、まずは融資を獲得することが一つの試練になります。

そこで本記事では、創業融資や制度融資など、設立時に利用できる主な融資制度を解説し、融資を獲得するためのコツについて詳しく紹介します。創業時の資金調達にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

会社設立時に利用できる融資は創業融資か制度融資がおすすめ

会社設立時に利用できる融資には、主に「日本政策金融公庫の融資」「自治体の制度融資」「民間銀行の融資」があります。この中でも、創業時に特におすすめされるのが「創業融資」と「制度融資」です。

創業融資は、創業間もない企業でも事業計画の充実度や将来性を評価して融資を受けやすい制度で、金利も低めに設定されています。一方、制度融資は、自治体と民間金融機関が連携し、自治体が保証人となるため融資が受けやすく、さらに金利補助があるため金利負担が軽減されます。民間銀行の融資は実績や信用が必要なため、創業時にはハードルが高く、まずは創業融資や制度融資の活用が推奨されます。

会社設立時に利用できる創業融資一覧(2024年現在)

会社設立時に利用できる創業融資は以下のようなものがあります。本章では、日本政策金融公庫が提供するそれぞれの融資の概要と利用条件を解説します。

会社設立時に利用できる創業融資一覧
  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 再挑戦支援資金
  • 中小企業経営力強化資金
  • 設備資金貸付利率特例制度(東日本版)

新規開業資金

これから事業を始める方または、事業開始後おおむね7年以内の方が利用できる融資です。用途は、事業を始めるための資金、または事業開始後に必要な設備資金および運転資金になります。

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
運転資金返済期間 10年以内(据置期間5年以内)
設備資金返済期 20年以内(据置期間5年以内)
金利 基準利率

参考:日本政策金融公庫 新規開業資金 新規開業資金の概要 より

なお、担保・保証人は応相談になっていますが、新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できることになっています。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金は、これから事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の女性、35歳未満の若者、または55歳以上のシニアを対象とした融資です。用途や融資限度額、返済期間は通常の創業融資と同様ですが、対象者には特別利率が適用されます。

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
運転資金返済期間 10年以内(据置期間5年以内)
設備資金返済期 20年以内(据置期間5年以内)
金利 特別利率A
*技術やノウハウに新規性がある方、「デジタル田園都市国家構想交付金」を活用した起業支援金を受けた方、移住支援金も併せて受けた方には特別な利率が適用されます。

参考:日本政策金融公庫ホームページ 新規開業資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)の概要 より

この制度は、女性や若者、シニアの起業をより手厚く支援してくれます。

再挑戦支援資金

再挑戦支援資金は、廃業経験がある個人や、そのような経営者が営む法人を対象にした融資制度です。新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方で、以下の条件を満たす必要があります。

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
運転資金返済期間 15年以内(据置期間5年以内)
設備資金返済期 20年以内(据置期間5年以内)
金利

基準利率

さらに、利益率や雇用の目標達成により、利率が0.2%引き下げられる「創業後目標達成型金利」も利用可能です。

参考:日本政策金融公庫ホームページ 新規開業資金(再挑戦支援関連)の概要 より

中小企業経営力強化資金

中小企業経営力強化資金は、新たに事業を始める方や、事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした融資制度です。対象者は、「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を適用している、または適用する予定の方で、自ら事業計画書を策定し、認定経営革新等支援機関から指導や助言を受けている必要があります。

融資限度額 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
運転資金の返済期間 10年以内(据置期間5年以内)
設備資金の返済期間 20年以内(据置期間5年以内)
金利 特別利率A

参考:日本政策金融公庫ホームページ 新規開業資金(中小企業経営力強化関連)の概要 より

設備資金貸付利率特例制度(東日本版)

設備資金貸付利率特例制度(東日本版)は、福島復興再生特別措置法に定められた避難指示・解除区域が存在する市町村で、雇用の維持や拡大を伴う設備投資を行う事業者を対象にした特例融資制度です。

対象者

以下の融資制度を利用する方が対象。

  1. 1.一般貸付
  2. 2.特別貸付(挑戦支援資本強化特例制度、海外展開・事業再編資金および一部の企業再生貸付を除く)
  3. 3.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
  4. 4.生活衛生貸付(生活衛生改善貸付を含む)
  5. 5.東日本大震災復興特別貸付
金利

各融資制度で定められた利率ー0.5%*利率の下限は0.3%(一部制度は0.05%)

会社設立時に利用できる制度融資(東京都)

制度融資は各自治体から提供される創業融資の事です。各融資の内容や条件は、各都道府県ごとに異なります。本章では、東京都で利用できる制度融資の代表的なものを紹介し、そのうちの一つ「創業融資」の概要を解説します。

東京都で利用できる制度融資(代表的なもの)

東京都の創業融資概要

東京都の制度融資である「創業融資」は、事業を営んでいない個人が東京都内で創業を計画している場合や、創業から5年未満の中小企業者、分社化を目指す企業が対象になります。この制度は、創業時の資金調達をもとめる事業者を手厚く支援する制度です。

融資限度額 3,500万円
運転資金の返済期間 最長7年(据置期間1年以内)
設備資金の返済期間 最長10年(据置期間1年以内)
金利

固定1.7%~2.2%または変動金利

(責任共有制度対象外の場合は固定1.5%~2.0%)

物的担保 原則不要
保証料補助 全事業者3分の2

参考:令和6年度 東京都中小企業制度融資一覧①より

会社設立時の融資をスムーズに受けるコツ

融資を受けるための条件を満たしていても、申請したすべての事業者が融資を受けられるわけではありません。融資には審査がありますが、本章では、その審査をクリアし融資をスムーズに受けられるコツを紹介します。

融資審査をクリアしやすい会社にする

会社設立時に融資をスムーズに受けるコツは、融資審査をクリアしやすい会社にすることです。その際、以下のような点が重要になります。評価にマイナスとなる要素を排除する点が重要です。

役員の信用情報 クレジットカードやローンの延滞、未払いがないことが基本。信用情報が良好だと、会社全体の信頼性も向上する。
自己資金

自己資金の充実は事業へのコミットメントとして評価される。

一般的に融資希望額は自己資金の2倍までが目安。

事業内容

社会的ニーズに応えるビジネスが評価される。

農業や金融、医療、公序良俗に反する業種は融資対象外。

本社所在地

自治体によって融資制度が異なるため、有利な条件で融資を受けられる場所に本店を設置することを推奨。

事業計画書(創業計画書)作成に注力する

創業融資を受ける際には、事業の目的や展望、計画に基づく資金の流れを明確に示す事業計画書を提出する必要があります。事業計画書には、事業に対する経営者のビジョンや、過去の経験がどのように今回の事業に活かされるかが詳しく書かれていなければなりません。また、競合との差別化ポイントや市場戦略、販売ターゲットなども記載し、将来的に利益を生むことができると示すことが重要です。さらに、経営者自身の借入状況や、必要な資金をどのように調達するのかといった情報も必要になります。経営者の実力や事業の成功可能性を審査担当者に納得させる計画書を作ると、融資をスムーズに受けられる可能性が高まります。

専門家のアドバイスを活用する

融資をうけやすい会社設立や事業計画書の作成といっても、具体的なイメージが持てない、と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そう思うのも当然で、会社設立の資金調達を経営者一人でこなすには限界があります。そのため、会社設立時に融資をスムーズに受けるためには、専門家のアドバイスを効果的に活用するようにしましょう。税理士や中小企業診断士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家は、金融機関が求める基準や審査ポイントを熟知していて、事業計画書の内容を具体的かつ的確に改善するアドバイスを提供できます。専門家の助言を受けることで、融資審査で必要とされる要素を効果的にカバーでき、金融機関からの信頼を得やすくなります。積極的に活用しましょう。

なお、はぎぐち公認会計士・税理士事務所では、創業融資や事業計画書の作成に関するご相談も承っております。+α


これまでに年間100件近くの融資支援実績があり、創業補助金採択支援は東京都で1位の実績があります。(創業融資実績はこちらをご覧ください。)

まとめ

本記事では、会社設立時に融資を受けたい方に向けて、どのような融資があるか、融資獲得のコツを解説しました。

自己流だけではスムーズに融資を受けることは難しくなります。

事前に情報を収集しコツをつかんで、融資獲得の成功率を上げておきましょう。


なお、はぎぐち公認会計士・税理士事務所へのご相談はこちらです。

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